ここ最近の屁の勢いが尋常じゃねぇ

興味の赴くままに生きた記録をつづる

キャリアとか年収とか人の価値とか。31歳っていろいろ考えるよねという話

会社の給与規定をあらためてじっくり見てみた。

グレードごとの給与の幅が記載されている表だ。

 

先に昇進した同期と自分の年収が、ざっくり100万は違うであろうことが判明。

あの人って40代だけど、20代後半のあの子より年収少ないってこと…?

 

給与の表を見てると、うっかり「年収=その人の価値」と安易に結び付けそうになって危険だ。

 

地元の同級生の年収を知らないし、私も言えない。

先輩が、「大学卒業してからの年数がたてばたつほど、年収の話ってデリケートでできない」と言ってた。

 

卒業したての頃は大体みんな近しい給与だけど、その後どんどん差が開いてくるからだ。

 

現に、今の会社で私以外の同期3人(うち男二人、女一人)は昇格してる。

 

女が独身だったら「あの子は仕事に邁進してるもんな」と納得もできるけど、どっこい二児のママである。

 

子供の人数も年収も負けているなんて…。

と、またもや危ない思考に自分を追いやってしまう。

 

もちろん、会社からの評価はその人の価値を決める一つの側面ではあるけど、全てではない。と、頭ではわかっている。

 

人材としての能力にランク付けしているのであって、人格そのものを肯定・否定するものではないのに。

 

それでも、自分だけいつまでも新しいおもちゃを買ってもらえない子供のような気分になる。

 

 

 

キャリアって何ー?

なんか意識高い系でしんどい(笑)

楽してそこそこ稼げればそれでいいやー。

 

と思いながら20代後半を過ごしてきたが、だんだんそうも言ってられなくなってきた。

 

子供が生まれ、お金があるに越したことはないし、この先そう短くはない会社員人生を過ごすなら、30代半ばまでには昇格しといたほうが、先々転職することを考えてもよさそうだし…。

 

だからといって、「私もみんなに追い付くためにがんばるぞー!」

と目をキラキラ輝かせられるような、“純”な時代はとっくに終わった。

 

「やりがい搾取」とか、「誰かに見させられている夢」みたいな言葉を知ってしまうと、誰かに操られるかのようにがむしゃらに頑張ることの馬鹿馬鹿しさは無視できない。

 

やるなら、したたかに。

負け戦は、しない。

 

28歳くらいから、この二つが働くうえでの標語になった。

 

間違っては無いと思う。

じたばたしなくて済むので、精神的にもすごく楽になった。

でも、別に楽しくもない。

 

「好きを仕事に」することに憧れていた。26歳くらいまでは。

 

書くことや歌うことを、どうにか仕事にできたらなぁと思っていた。

漠然とフリーランスに憧れていた。

 

漠然とってところがミソ。何にも縛られず、自分の能力で社会を生き抜いている人たちに見えたから。

 

今なら、何にも縛られないわけではないとわかる。

フリーが受ける案件の多くは「会社員」から振られるものだろうから、会社の組織構造と無関係ではいられないだろう。

 

フリーランスが向いてる人って、①よっぽど今の職種が好き で ②組織で働くことが精神的に苦痛 な人なのかなぁ。

確定申告とかインボイスとか、想像するだけで面倒くさすぎる。

 

フリーが偉くて、会社員はつまらない。と思っていた。

 

でも、1つの会社で着々とキャリアを積み上げていくこともすごいことだと、今は思う。

会社員は、諦めでも妥協でもなくて、選択なんだって。

 

会社にいながら、二足も三足もわらじを履いて、収入の口を増やす生き方も普通になってきてるし。

 

もちろん、諦めと妥協で日々を不本意に生きてる人たちもいる。

育休ボケで忘れてるだけで、自分もきっとそうだった。

 

でも、「当面はこの場所で職歴を積み上げていく」ことをポジティブに選んだ人たちは、強いしすごいと思う。自分もそうなりたい、かも。

 

 

 

キャリアとかいまだによくわからないけど、「何かしらの軸に沿って仕事の経験を積み上げていく」ことかなぁと思う。

 

何かしらの軸っていうのは、得意なこととか、収入とか、好きなこととか、場所とか。

同じ職種を極めるのか、いろんな職種を経験するのか。

 

積み上げた結果、給料が上がれば万々歳。

上がんなくても、へばらず積み上げつづけてる人は魅力的だ。

 

てなことを、最近は考えています。

何度も見返してしまう映画・ドラマ②『百万円と苦虫女』

2008年公開の映画『百万円と苦虫女』。

大学生の頃に初めて見て、蒼井優の可愛さに衝撃を受け、以来「生まれ変わったら蒼井優になりたい」と思うほど彼女にハマるきっかけとなった映画だ。

 

あらすじ

蒼井優演じる主人公の鈴子は、父、母、小学生の弟と団地で暮らす21歳。

短大卒業後は、バイトをしながら実家で暮らしていた。

 

しかし、とある事件をきっかけに鈴子は拘置所に入れられてしまう。

出所後は実家に居づらくなり、「100万円貯めて実家を出る」ことを決意する。

 

まずは海の家。次に桃農家、そして最後は地方都市。

そこでアパートを借り、バイトをしながら暮らす鈴子。

 

いろいろなバイトで経験を詰んできたからか、何をやってもそれなりに器用にこなせてしまう。

 

しかし、それぞれの土地で居場所ができそうになるたび、鈴子にとって不都合な状況に陥ってしまう。

周囲の興味の目から逃れるように、100万円を貯めては住む場所を転々とするが……。

 

 

とにかく、蒼井優が可愛い

映画そのものが蒼井優の写真集になりそうなほど、どこを切り取っても絵になる。

 

髪をてっぺんでお団子にして、自分のお弁当を作る姿。

コールセンターバイトの時の制服姿。

海の家で波を見つめてぼーっとする横顔(この時に着ている、白地に青の刺繡が入ったレトロなトップスがあまりにも可愛い)。

高い位置で結んだポニーテールを揺らしながら、てきぱきと焼きそばを運ぶ姿。

 

白Tシャツにブロックプリントのロングスカート、ピンクの肩掛けポシェット姿で、海に続く坂をすたすた下っていく姿。

トラックの荷台に揺られながら桃を丸かじりする姿。

コインランドリーで恋の始まりに気が付いたときの、白Tシャツ+だぼジーンズ姿。

窓枠に腰かけてコーヒーを飲む姿。

お風呂上りにノートをめくりながら缶ジュース(チューハイ?)を飲む姿。

なんてアンニュイで可愛いの……。

 

どの土地に行っても、なんだかんだで男性から好意を寄せられる鈴子。

儚げでミステリアス、けれど芯は通っている。

そりゃモテて当然だわ!!

 

ただ、「蒼井優が可愛いな~」「いろんな土地で暮らしてみるのも楽しそ~」と、何となく見ている分にはいい映画なのだが、

何度も見返しているうちに違和感というか、「その展開はちょっと無理があるんでは!?」と思う部分もいくつかあるにはあって。

 

たとえば、地方都市で鈴子の恋人となる中島くん。

最初は誠実な"THE好青年"だが、付き合ってしばらくたつと鈴子から頻繁にお金を借りるように。

 

他の女子とのお茶代まで鈴子が出す始末となり、最終的には鈴子から別れを切り出し、まだ100万円が貯まっていないにもかかわらず引越すことになる。

 

実は中島くんは、100万円が貯まったら鈴子が別の街に引越してしまうのではという寂しさから、引き留めるためにわざとお金を借りていたことがラストで分かる。

当然、その真意は鈴子には伝わっていない。

 

これはちょっと無理があるなぁというか、誠実な中島くんがそんなことするか!?と思ってしまった。

 

あと鈴子の弟が、同級生からの虐めから逃れるために中学受験を決めていたにもかかわらず、なぜか終盤「それは逃げなので、やっぱり奴らと同じ中学に行きます」と言ったり。

 

いやいや、まっとうな手段であって、逃げではなくない!?

せっかく成績優秀なのに、わざわざレベル落として虐めてくる奴らと同じ中学に行くという選択はいまいち納得いかなかったなぁ。

 

結果的に、弟の「逃げずに向き合う」という決断が、自分と他人から逃げ続けてきた鈴子を鼓舞することにはなるんだけど。

虐めは別問題では?と思ってしまった。

 

ラストシーン、鈴子と中島はお互いに気づいてる?

ラスト、中島くんは鈴子に真意を伝えるべく、追いかける。

しかしすれ違いが続き、近くにいるのに気が付かない。

鈴子と中島くんは、歩道橋をはさんで“ねじれの位置”にいる。

 

けれど、歩道橋の上を見上げた中島くんの目は、鈴子の姿をとらえていた気がした。

結局二人が会えたのか会えなかったのかは、映画の中では描かれていない。

二人の間の誤解が解けてたらいいな。

 

だって誤解が解けてなかったら、「ようやく恋愛できると思ったら、彼氏に(誤解とはいえ)金ヅルにされてることが発覚して別れた」っていう新たなトラウマが鈴子の中に増えるだけじゃん!!

 

でも、鈴子は強い女の子だなぁと思う。

短大卒業後、フリーターして、拘置所に入って、実家を出て、住む場所を転々とする。

21歳の女の子としてはかなりハードモードな人生だ。

 

そんな中、おそらく初めて実った恋だったのに。

それでも腐ることなく前を向き、切り替えている。

 

いろんな場所を転々としたからこそ、「出会うために別れる」と気が付いた。

逃げたからこそ、地に足をつけて生きる覚悟ができた。

 

彼女は、次はどんな街で暮らすんだろう。

 

この映画で描かれてた季節はたぶん春~夏の終わりくらいだろうから、秋冬バージョンも見たいと切に願う。

 

1歳3ヵ月の息子との育休中の日々

1歳3か月の息子がいる。

4月から、保育園の1歳児クラスへの入園が決まっている。

私はGW明けから職場復帰だ。

 

2022年10月中旬から始まった産休・育休も、あっという間に残り数か月。

小・中・高・大学までは、学校に通ったり部活をしたり。休み中には宿題もあって、「何もしない」わけにはいかなかった。

 

社会人になってからは、いうまでもなく仕事の日々。

8年間の会社員生活のうち後半の2年ほどは、社会の風潮もあって残業はさほどなかったが、目の前の仕事をこなすうちにあっという間に過ぎ去っていった。

 

そして今、人生で初めて「何もしない」が許される日々を過ごしている。

 

まず、タスクリストの内容が変わった。

「●●の企画書…~×日まで」「△△さんに確認出し~今日中」といった内容がずらりと並んでいたiphoneのメモは、産休に入った途端、「肌着を買う」「赤ちゃんファーストの注文」といった平和な内容に変わった。

 

産休に入ってしばらくたつと、リストを作る必要もなくなった。

「今日は何しようかな~」から1日を始められる日々。幸福だ。

 

もちろん、家事や育児はしなければいけない。

だが、幸い息子は基本的に機嫌がよく、体も丈夫なほうなので、常につきっきりというわけでもない。

有難いことに、思っていたより自由な時間が多かった。

 

自分の記録用に、人生における珍しき今の日々をまとめておく。

 

育休中の1日の流れ

夜間のミルクは大体23時と3時。

ミルク以外の夜泣き(たぶん、ふと目覚めてそのまま寝付けず、さみしくて泣いているんだと思う)が月に1~2度あるものの、たいていはミルクを飲んでまた寝てくれる。

 

朝は7時くらいにむずかって起きる。

機嫌よく起き出すこともある。

Eテレをつければ静かに見ているので、その間に私はもう少し寝る。

 

息子のオムツを替え、8:15から朝ドラの「ブギウギ」を見る。

朝ドラをしっかり見るなんて、「ちゅらさん」以来かもしれない。

 

児童館に行く日は10時には家を出るため、食器を洗ったりして割とてきぱき動く。

息子に朝ごはん(米粉パンとバナナ)をあげ、着替えさせ、自分も軽く化粧をして家を出る。

 

児童館には、息子が生後4か月になった頃から行き始めた。

区内にいくつかあり、3カ所くらいを順繰りに回っていた。

 

週に1度、乳幼児向けのイベントがあり、「絵具遊び」や「ボールプール」など、家ではできないようなダイナミックなイベントもあるので、楽しく通っていた。

 

通う前までは、ママ友特有のわずらわしさがあるのかな…と少々不安だったが、

みんな"わきまえて"いる感じだった。

 

名前も知らない(聞かない)。

イベントが終われば続々と帰る。

お互いを詮索しない暗黙の了解があった。

 

児童館のイベントが11:30過ぎに終わる。

帰宅途中に弁当屋かコンビニで好きなものをテイクアウトするのが楽しみだ。

 

食べ終わったら息子に離乳食をあげる。

この後、息子も私も昼寝することが多い。

 

起きたら16:00くらい。

体力があればもう一度息子を連れ、近所のショッピングモールとかスーパーを巡回する。

 

17:00すぎに晩酌開始。夕飯を作りつつ、息子に離乳食をあげつつ、350ml缶を2本くらい空ける。

勢いづいた日はワインも飲む。

 

18:30頃、夫が帰宅。

19:00くらいに夕飯を食べ、20:00ごろに夫が息子をお風呂に入れる。

私は受け取り、歯磨き、保湿、着替えをさせる担当。

 

20:30ごろからは、夫にまかせて私一人でジョギングに出たり、銭湯に行ったり。

一人で身軽に動ける貴重な時間だ。

 

家でお風呂に入り、そのままだらだら動画やドラマを見ることも多い。

ちなみに、最近ジョギングはややサボり気味。

3日おきに走っていたが、5日~1週間空くこともある。

冬に痩せたって何も意味は無いので、まぁよしとする。

 

22:30ごろ夫が寝るので、外出したとしてもその時間までには戻る。

夜間のミルクの用意(哺乳瓶に粉ミルクを入れておき、お湯が減っていれば沸かす)。

 

息子は、ミルクを飲んでそのまますぐに寝てくれる日もあるし、いつまでも元気に起きている日もある。

 

寝ない日はどうしたって寝ないので、眠そうにするまで遊ばせておく。

無理な寝かしつけはしない。

 

自分は0:00にはベッドに入るが、すぐには眠れず、YouTubeポッドキャストを聴きながら寝落ちする。

 

育休中、心の支えになったもの

育休期間は、とにかくYouTubeポッドキャストを聴きまくっている。

YouTubeプレミアムに加入したので、広告なしで快適に動画を流しっぱなしにできる。片耳には常にワイヤレスイヤホンを突っ込んでいた。

 

ジェーン・スーさんがパーソナリティを務める「生活は踊る」の中の相談コーナー、「相談は踊る」に出会えたのは良かった。

 

人生いろいろ。

匿名だからこそ赤裸々に話せる悩みってあるから、それらを聴けるのは貴重。

スーさんが相談者の悩みを冷静に読み解いて、時に優しく、時に厳しく答えていくから、聴いているだけで物事を見る視点が1個増えるような感覚がある。

 

あとは、自分のためにたくさんお金を使った。

歯列矯正、配信ライブ、服や靴、酒。

 

息子を連れて、いろんな場所にも行った。

お台場、清澄白河の庭園、王子公園。日本橋や東京駅周辺。日暮里。

赤羽の桐ヶ丘団地、墨田区の白髭東団地。

 

ある時、降りたことのない駅に行ってみたいと思い、大江戸線汐留駅で降りた。

高層ビルがぎゅうぎゅうに建ち並んでいて、その間を縫うようにゆりかもめが走っていた。

 

Googleマップで「イタリア公園」を見つけ、さぞかし優雅な公園なんだろうと思って行ってみたら、白い彫像がぽつぽつ立っているだけだった。

 

久しぶりのオフィス街。

13時頃だったので、ランチ終わりの気だるげな会社員たちが続々と自らのビルに吸いこまれていく時間と重なった。

働いていた頃を思い出し、懐かしさ半分、しんどさ半分。

 

考えないようにはしていたが、復職への不安が具体的に迫ってきた。

元来、働くことがあまり好きではないので、「戻りたくてしょうがない」という感じではない。

 

だが、一旦仕事を辞めれば正社員として再就職できる可能性はかなり低いだろうし、何かあった時のためにも自分で稼ぐ手段は持っておいたほうがいい。

だから復職する。

 

互いの実家が遠方なので、夫婦二人で仕事と育児と家事を両立させなければいけない。

実際にやってみないとわからないし、もやもや悩んでても仕方がない。

 

今は残りのホリデーを存分に謳歌しなきゃ。

産休・育休を取るためにここまで会社を辞めずに続けてきたといっても過言ではないんだから。

 

ちなみに、今年から遂に花粉症デビューした模様。

目は痒くないけどしぱしぱして、軽い鼻づまり。

アレグラを飲んだら楽になったからほぼ確だ。

 

 

何度も見返してしまうCM①『ホットペッパービューティ「春」』

キッカケなんか、春でいい。

 

 

毎年春が近づくと、このCMが見たくなる。

 

初めて見たきっかけは、Twitterだった。

いわゆる"エモいCM"としてバズっていたのだ。

 

CMは、卒業式が終わり、帰路につく女子高生二人の自然な会話から始まる。

冒頭のやり取りで、主人公の女の子が片思いしていることがわかる。

 

知らない間に恋を実らせ、きれいにネイルをしている友人。

巻き髪で卒業式にのぞむ同級生。

真面目な学級委員長でさえ、帰り道にコロッケ屋で買い食いをしている。

そんな中、卒業式までは律儀に「校則から外れない高校生」を守っていた主人公。

 

好きな男子を斜め後ろから見つめているうちに、主人公だけ「起立」の号令に取り残される。

人生の門出に乗り切れない不特定多数の「春」と重なるこのシーンが、たまらなく好きだ。

 

どこにでも行けるのに、どこに行きたいのかがわからない。

そんな時の行き先は、美容院でもいいのかもしれない。

 

「髪切りに行くわ」

 

背筋を凛と伸ばし、しっかりとした足取りで人生を歩き始めた一人の少女。

「すべての18歳の、キレイを応援します」の文字に、「パン(拍手) リクルート」の声に、いつも少し涙が滲む。

 

こういう「いつの間にか最後まで見てしまっている」系のCMを見ると、つい自分の人生を振り返ってしまう。

私にはこんな甘酸っぱい青春はなかったけれど。

 

1歳2か月の息子は、この4月から保育園に通い始める。

2年近く続いた産休・育休が終わり、5月からは仕事復帰が待っている。

コロナ自粛も明け、あわただしい会社員生活が戻ってくる。

 

復職までに、美容院に行こう。

今年も早々に暑くなるみたいだから、新しい髪色に挑戦してみようかな。

今年もまた、このCMに背中を押された。

 

キッカケなんか、春でいい。

 

2月下旬なのに、都内では桜が咲き始めた。

今年はきっと、今までにない春になる。

何度も見返してしまう映画・ドラマ①『モテキ』

2011年公開の映画『モテキ』。

大学2年の時に見てから、折に触れて見返している。

 

特に長澤まさみ演じるみゆきの初登場シーンは、もう何度見返したかわからない。

花柄のフレアショートパンツにグレーのジャケット。

長い長い脚に赤いリボンのついたパンプス。黒いヘッドホンを外し、息を弾ませながら「幸世…幸世くん?…なんだー、かっこいいじゃん!!」

 

可愛い。可愛すぎる。美しすぎる。

 

その後二人で飲むシーンでは、幸世の心の声でみゆきのスペックが紹介される。

たった1分ちょっとの映像なんだけど、ここのテンポ感が最高で最高で。

 

「なんだこの顔殺されるわ!!」「わーー、脚超きれいなんですけど」

「ってちょっと待って脱ぐな脱ぐな見ちゃうじゃんかよぉぉ!」

 

幸世がビール飲みながら横目でみゆきの顔と身体を観察する時の目線とか、めちゃくちゃリアルだよね。

男ってこういう目線で女を見てるんだなぁとこの映画で知ったかも。

 

みゆきと運命の出会いを果たした幸世が、Perfumeとダンスするシーンも秀逸。

見るたび、森山未來ってダンサーなんだよなと実感する。いくつかのシーンでPerfumeを超えたキレの良さを見せてると思う。

 

この映画にはTwitterがたくさん出てくるんだけど、細かく停止して見るのが好き。

幸世とみゆきがリプでやり取りするシーン、校了間際の残業とか上司の愚痴とか、リアルで面白い。

 

みゆきの部屋のインテリアも、停止してじっくり観察した。

床の木目がお洒落。カウンターキッチンはごちゃついているけど、調味料がガラスの瓶に入ってたりして統一感がある。

 

間取りは1LDKかな?玄関開けたらすぐにリビングが見える。

ドアの造りが意外と庶民的だけど、小窓のすりガラスと丸い金色のドアノブが可愛い。

 

そういえば、映画に出てくるお洒落な部屋って間接照明とか観葉植物がやたらと多いよね。コンセントが多くてうらやましい…。

 

幸世がみゆきのベッドでふてくされているシーン。

みゆきはローテーブルにパソコンと書類を広げて、コーヒーを飲みながら残った仕事を片付けている。

酒飲んだ後なのに、あんなに優雅に仕事できるなんてすごい。

 

麻生久美子演じるルミコが、幸世に振られて自暴自棄になり、幸世の上司の墨さんとワンナイトしたあとに牛丼をかっこむシーンも好き。

ルミコは一見地味だけど大人っぽくて、絶妙にエロい。ひざ丈ちょい上のスカートと透けた黒タイツとか。

ルミコは33歳、みゆきは26歳なんだよね。どこでどう出会ったのか気になる。

 

モテキ』は仕事映画でもあると思う。

31歳の派遣社員だった幸世が、音楽サイトのwebライターとして働き始め、みゆきに出会う。

 

同い年でフェスを仕切る男(=みゆきの彼氏だが、実は不倫関係)の存在に打ちのめされ、嫉妬100%で書いた記事は、フェス男を「うんこ野郎」と口汚く罵る幼稚な内容。

 

「私、幸世くんとじゃ成長できない」

 

みゆきの言葉で、幸世はフェス男の記事を全部書き直す。

プロのライターとして成立させた記事は、編集長の墨さんに認められ、公開される。

 

どんなに自分のコンディションが悪くても、憎い奴をかっこよく紹介しなきゃいけなくても、仕事は仕事。

幸世が一皮むけた瞬間だと思う。冷静に、取材した翌日に記事公開ってすごいスピード感だしね。

 

私は今年31歳。主人公の幸世と同い年になった。

今見返すと、幸世の年収(230万円)とか、仲里依紗演じるキャバ嬢のアイちゃんが言ってた「女と男の決定的な違いは、子供を産めるリミット」とか、大学時代にはピンときてなかった場面も見え方が変わった。

 

同じ女性としてどのキャラに憧れるか、という視点でも見ていたんだけど、私が1番尊敬するのはアイちゃんかな。

 

「若いのに」「水商売なのに」という邪魔な前置きがどうしてもついてしまうんだけど、彼女はすごく聡明だし自立してる。

 

シングルマザーとして赤ちゃんを育てながら、実家の母に預けっぱなしにすることなくきちんと保育園に通わせ、自分はキャバクラで働いてる。

実家のスナックにもちゃんとお金を入れてるみたいだし。

 

「また、お店来てくださいね。いろいろ、聞きますよ」と言い残して去っていく彼女の背中は、いつ見ても心がきゅっとなる。

 

今後も何度も見返すんだろうな。

 

というわけで、何度も見返してしまう映画・ドラマ①『モテキ』でした。

シリーズとして、他の映画やドラマのことも書きたいと思います。

 

Twitterの通知欄に知り合いの不倫専用アカが出てきた話

タイトルのまんまの話である。

 

4年くらい前のある日。

Twitterを開くと、通知欄に新着マークがついていた。

 

タップすると、「あなたの知り合いが新しいアカウントを始めました」という内容とともに、女性の口元から胸元にかけての画像アイコンが表示されていた。明らかにエロ系。そしてそれが私の知り合い……!?

 

胸のざわつきと高鳴りを抑えつつ、アカウントをタップする。

 

「人妻●●@不倫懺悔アカ」。

概要欄には「30代人妻/不倫/美容/妊活」と書いてある。

 

同い年の夫がいながら複数のおじさんとそういう行為をしているようで、「またホテルに行ってしまいました…」「何も知らない夫の笑顔が苦しい…」といったような、後悔と見せかけて自分に酔いまくった投稿が並んでいた。

てか、不倫と妊活が同時進行ってどんな状況。

 

とにかく、身元を特定したい。

ググってみると、アカウントIDから電話番号を特定する方法が出てきた。

 

あくまで4年ほど前のやり方ではあるが、ざっくり説明するとこう。

まず一度自分のTwitterアカからログアウトし、Twitterのトップ画面を開く。

その後、ログイン画面で特定したい奴のIDを入力し、「パスワードを忘れた方はこちら」をクリック。

 

すると、「パスワードを再設定しますけど、あなたの電話番号これで合ってます?」みたいな感じで電話番号の末尾2桁が表示される。

その番号が自分の連絡先にあれば、高い確率でそいつがアカウントの持ち主、というわけだ。

 

上記の方法で、無事に電話番号の末尾2桁を特定。

そこからの私の集中力はすさまじかった。

 

iPhoneの連絡先アプリの検索バーに番号を入力するも、なぜか「一致する人がいません」との表示。

だが、そもそも連絡先にいなければ私のTwitterの通知欄に出てくるはずがないので、何らかのバグなんだろう。

 

仕方がないので、目視で地道に探す。

「あ行」から順番に一人一人連絡先を開き、電話番号が登録されていたら末尾2桁が一致しているか確認する。

 

あ行、該当なし。か行、該当なし。わーなにこの作業。連絡先エクセルに落としてCtrl+Fしたら一発じゃん…まじで不毛…。

さ行、該当なし。でも自分の知り合いに不倫人妻アカが潜んでいるなんてこんな面白スクープない…私は文春の記者…私は文春の記者…。

 

た行…まで来たところで、うわーあったあった!一致した!!誰誰誰!!!!

 

出てきたのは、大学1年の時、サークル(結局入らなかった)の新歓で一度だけ会ったことのある女の先輩だった。

普通に可愛くて明るい、面倒見のよい感じの人で、顔を思い浮かべても不倫とはまったく結びつかなかった。案外そんなもんなのかもしれない。

 

その後3か月ほどアカウントの監視を続けた。

不倫ポエムのほか、自分の顔を半分写した写真もアップしていた。

私以外にもその先輩のアカウントであることを特定している悪趣味な奴もいるかもしれないのに、かなり不用心だよなーと思っていたら、ある日突然消えていた。

 

旦那に不倫がバレたのか、知り合いから「これ、あんたのアカウント?」と言われたのか。真相は永久にわからない。

 

以上、「知り合いが新しいアカウントを始めました」っていう通知機能怖いなーってお話。

別の知り合いの婚活アカウントも通知がきて、投稿内容とかフォロー欄で特定できちゃったし。

 

ほとんどの人が複数アカウントを持っているだろうけど、知り合いに通知がいかない設定になっているかは確認したほうがいいね。

特に、人にバレたくない活動を発信するときは。

「行きつけのカフェ」の記憶

高校生の頃から、「行きつけのカフェ」が数軒あった。

 

地元・鳥取市の商店街は、意外とおしゃれなカフェが多い。鳥取出身の若者が都会の飲食店で経験を積み、鳥取に戻って古民家等で自分の店を開く。いわゆるUターンだ。

商店街をぶらぶら歩いて良さげな店を見つけ、放課後や土日の部活帰りに立ち寄っては入り浸るのが好きだった。

 

なかでも特によく通ったのが、「cafe bird-nest(カフェ・バードネスト)」というお店だ。女性の店主さんが一人で切り盛りしていて、鳥取駅近くのテナントビルで数年営業したのち、近隣の別のテナントに移転。そこで数年営業するも、私が大学生の頃に閉店してしまった。

 

そのお店は、ブックカフェだった。

店主さんの独自のセレクトで置かれた本は、漫画や小説、写真集や図鑑などラインナップが幅広かった。それらの本を読みながらホットサンドやキャラメルチャイフロートを頼むのが定番で、店内で静かにかかるジャズやボサノバの音色が心地よかった。

 

脚本家の三谷幸喜さんとタレントの清水ミチコさんの対談本に出合ったのもそのカフェがきっかけだった。

j-waveで2005年から2014年まで放送されていたラジオ番組『MAKING SENSE』のトーク内容をまとめた本で、あまりの面白さに衝撃を受け、そこから二人のラジオを聞き始めた。二人のことが大好きになったのはもちろん、会話の中に登場する平野レミさんなどの魅力的な人を知ることができたし、本格的にラジオ好きになったのもこの出合いがきっかけだった。

 

高校を卒業し、東京の大学に進学してからも、帰省のたびにそのカフェに足を運んだ。田舎から都会に出たばかりで不安も多かった私にとって、まさに巣(ネスト)のような存在だった。

 

店主の女性と初めて言葉を交わしたのは、お店が閉業する前の最後の営業日だった。

いつものように、ホットサンドとキャラメルチャイフロートを頼み、本を読んでゆっくり過ごした。

 

お会計の際、「ここ、閉店するんですよね」と話しかけてみた。それまで必要最低限の会話しか交わしたことがなかったが、これが最後だから、と勇気を出したのだ。

 

店主さんは、「そうなんです。高校生の頃から、よく来てくださってましたよね。」と答えてくれた。私のことを認識してくれていたのだ。今は鳥取を離れ、東京の大学に通っていることを伝えると、「こちらに帰省するたびに寄ってくれているんだろうな、と思ってました」とも。本当にうれしかった。

 

思わず泣きそうになりながら、「ありがとうございました。さよなら」と告げた。穏やかな表情で、「さよなら」と返してくれた。

 

それから10年ほど経つ。今でも折に触れて「鳥取 カフェバードネスト」で検索しては、お店が何らかの形で再開していないかチェックしている。

東京には星の数ほどのカフェがあるけれど、以来「行きつけ」と言えるほどの店には出合えていない。

 

あの店主さんに会う機会は、きっともうないのだろう。

いまもどこかで料理やお菓子を作り続けてくれているといいなと思う。

青春の大切な思い出だ。