2011年公開の映画『モテキ』。
大学2年の時に見てから、折に触れて見返している。
特に長澤まさみ演じるみゆきの初登場シーンは、もう何度見返したかわからない。
花柄のフレアショートパンツにグレーのジャケット。
長い長い脚に赤いリボンのついたパンプス。黒いヘッドホンを外し、息を弾ませながら「幸世…幸世くん?…なんだー、かっこいいじゃん!!」
可愛い。可愛すぎる。美しすぎる。
その後二人で飲むシーンでは、幸世の心の声でみゆきのスペックが紹介される。
たった1分ちょっとの映像なんだけど、ここのテンポ感が最高で最高で。
「なんだこの顔殺されるわ!!」「わーー、脚超きれいなんですけど」
「ってちょっと待って脱ぐな脱ぐな見ちゃうじゃんかよぉぉ!」
幸世がビール飲みながら横目でみゆきの顔と身体を観察する時の目線とか、めちゃくちゃリアルだよね。
男ってこういう目線で女を見てるんだなぁとこの映画で知ったかも。
みゆきと運命の出会いを果たした幸世が、Perfumeとダンスするシーンも秀逸。
見るたび、森山未來ってダンサーなんだよなと実感する。いくつかのシーンでPerfumeを超えたキレの良さを見せてると思う。
この映画にはTwitterがたくさん出てくるんだけど、細かく停止して見るのが好き。
幸世とみゆきがリプでやり取りするシーン、校了間際の残業とか上司の愚痴とか、リアルで面白い。
みゆきの部屋のインテリアも、停止してじっくり観察した。
床の木目がお洒落。カウンターキッチンはごちゃついているけど、調味料がガラスの瓶に入ってたりして統一感がある。
間取りは1LDKかな?玄関開けたらすぐにリビングが見える。
ドアの造りが意外と庶民的だけど、小窓のすりガラスと丸い金色のドアノブが可愛い。
そういえば、映画に出てくるお洒落な部屋って間接照明とか観葉植物がやたらと多いよね。コンセントが多くてうらやましい…。
幸世がみゆきのベッドでふてくされているシーン。
みゆきはローテーブルにパソコンと書類を広げて、コーヒーを飲みながら残った仕事を片付けている。
酒飲んだ後なのに、あんなに優雅に仕事できるなんてすごい。
麻生久美子演じるルミコが、幸世に振られて自暴自棄になり、幸世の上司の墨さんとワンナイトしたあとに牛丼をかっこむシーンも好き。
ルミコは一見地味だけど大人っぽくて、絶妙にエロい。ひざ丈ちょい上のスカートと透けた黒タイツとか。
ルミコは33歳、みゆきは26歳なんだよね。どこでどう出会ったのか気になる。
『モテキ』は仕事映画でもあると思う。
31歳の派遣社員だった幸世が、音楽サイトのwebライターとして働き始め、みゆきに出会う。
同い年でフェスを仕切る男(=みゆきの彼氏だが、実は不倫関係)の存在に打ちのめされ、嫉妬100%で書いた記事は、フェス男を「うんこ野郎」と口汚く罵る幼稚な内容。
「私、幸世くんとじゃ成長できない」
みゆきの言葉で、幸世はフェス男の記事を全部書き直す。
プロのライターとして成立させた記事は、編集長の墨さんに認められ、公開される。
どんなに自分のコンディションが悪くても、憎い奴をかっこよく紹介しなきゃいけなくても、仕事は仕事。
幸世が一皮むけた瞬間だと思う。冷静に、取材した翌日に記事公開ってすごいスピード感だしね。
私は今年31歳。主人公の幸世と同い年になった。
今見返すと、幸世の年収(230万円)とか、仲里依紗演じるキャバ嬢のアイちゃんが言ってた「女と男の決定的な違いは、子供を産めるリミット」とか、大学時代にはピンときてなかった場面も見え方が変わった。
同じ女性としてどのキャラに憧れるか、という視点でも見ていたんだけど、私が1番尊敬するのはアイちゃんかな。
「若いのに」「水商売なのに」という邪魔な前置きがどうしてもついてしまうんだけど、彼女はすごく聡明だし自立してる。
シングルマザーとして赤ちゃんを育てながら、実家の母に預けっぱなしにすることなくきちんと保育園に通わせ、自分はキャバクラで働いてる。
実家のスナックにもちゃんとお金を入れてるみたいだし。
「また、お店来てくださいね。いろいろ、聞きますよ」と言い残して去っていく彼女の背中は、いつ見ても心がきゅっとなる。
今後も何度も見返すんだろうな。
というわけで、何度も見返してしまう映画・ドラマ①『モテキ』でした。
シリーズとして、他の映画やドラマのことも書きたいと思います。